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俳壇 2月号



俳壇賞の発表号。
私も応募したが、応募総数338篇のうちの、25篇の目標としていた予選通過には残らなかった。
この俳壇賞は、角川俳句賞よりも応募者の平均年齢が高いのが特徴である。
今回の予選通過者も私より年上が多い。今後も気長に応募しよう。

選考座談会はいつもの通り熟読したが、私の感覚とはかなり違う、というか新しい。

音たてて畳を歩く夜の蜘蛛  中村遥(受賞作より)

梅雨晴間二人で絞る柔道着  石井清吾

ジュラ紀より羊歯の葉陰にゐる蜥蜴  代田幸子
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越智建之 『澪標』



2018年最後のブログは、「天穹」同人・越智健之氏の句集・「澪標」を取り上げさせていただく。

子育ての跡を辿りて土筆摘

子育て期には何度も通った公園かどこか、久しぶりに歩いてみるとお子さんが小さかった頃のことを思い出す。土筆も、あの頃を思い出しながら久しぶりに摘んでみる。

書初や大言壮語憚らず

確かに、書初らしい文言といえば「初日の出」などの新年らしい語か、「星雲の志」「希望の光」など大言壮語である。だからといえ、「らしくない」語を書くわけにもいかず、書初の本質を表している。

平成の車争ひ賀茂祭

関西在住の作者。賀茂祭に車で行けるとは羨ましい限りだが、混雑・渋滞は付きものである。混むことは当然わかって行くわけだが、「あの駐車場にはこの時間に行けば大丈夫だろうか」「少し遠いがこちらが安全か」などと策を巡らせるのはまさに「車争い」。葵上の如く、後から悠々と関係者車両がやってくるのも憎らしい。

野宮や黒木鳥居に散る紅葉

作者は「天穹」の関西の句会を率いておられ、京都に吟行されることも多いようだ。
嵯峨野の吟行句と思われるが、こちらも「源氏物語」の舞台。明るい雰囲気の嵯峨野の中でも、独特の閑かさ、昏さの野宮社を上手く詠んでおられる。

漱石忌われに過ぎたる友ばかり

松山出身の作者。同郷のご友人が「天穹」に複数おられ、漱石と子規の関係を思わせる。

われにまだ若さの証大朝寝

私も最近実感しますが、年をとると本当に朝が強くなる。でも偶にはぐっすりよく寝られることもあり、得をした気分。「春眠」「目借り時」など、ともすればマイナスのイメージの春の睡眠を逆転の発送でプラスに転じた句。

繋がらぬ推理の鎖明易し

読み始めると止まらなくなる推理小説、ハッと気づくと外が白々と明け始める。冬では流石にありませんが、夏だからこそ。

「俳句」3月号


角川「俳句」3月号が届いた。

星野立子賞、星野立子新人賞の発表がされていた。
私も応募した「星野立子新人賞」、今までは早めに来ていた落選通知(?)はこの「俳句」3月号と同時に届いた。


へのこ岩ほと岩しばれ相古ぶ  高橋陸郎

日本文化は古来より性をタブーしなかった。神社などに堂々としてあったそれらも、新しいものが作られることは稀で、皆古びて行くのだろう。

家訪ねあぐねて数へ日を減らす  今瀬剛一

今年のうちにあの人に会っておかないと、と思いつつ会えず、数え日も減らしてしまう。年末だからこその感である。

このポストまだ生きてをり雪催  櫂未知子

旅先などで投函しなければならない時、「ここに投函して大丈夫だろうか」と不安になるようなポストに出会うことがある。よく見ると集荷時間が書かれており、現役であることがわかる。

「メヌエット」 石井信生

メヌエット

石井信生氏の第一句集。
氏は「天穹」の編集に携わられておられるが、兄弟結社である「創生」の編集部長でもあるそうで、本句集も「創生叢書」と銘打たれている。


ポストまで歩けるほどの春の風邪
すててこのままでは遠きポストかな


俳句を始めてから、句稿送付などポストのお世話になることがとても増えました。
作者のお宅からそう遠くない場所にポストはあるようですが、多少の風邪であれば歩いていけるが、すすてこでは憚られる、といった距離かと思われます。

松手入頭も弟子も無精髭

「技は盗んで覚える」時代ではないのかもしれませんが、職人としての生き方など、師を手本とする部分は多いと思われます。無精髭も。

ウィーンより「蒼きドナウ」の御慶かな

大晦日は紅白歌合戦、元旦は演芸番組を見るばかりが日本人ではありません。音楽関係の教育者であった作者はN響の第九と、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートで年末年始を過ごされるのでしょう。

偉さうな名医の打診大西瓜

ベテランの農家、あるいは八百屋は訳知り顔に西瓜を指で弾いて「診断」します。「偉さうな名医」とは上手い比喩です。

燃え尽きしあとも直立曼珠沙華

曼珠沙華を炎に見立てる句は多いですが、散った後に茎だけ直立している姿を「燃え尽きし」と詠んだことが、この花の特徴を上手く捉えておられます。

オフにしてまたオンにする春炬燵

必要か必要でないか、その日のうちでも微妙な春炬燵。快適さを保つためには小まめな切り替えが大切です。

一杯の試飲の呪縛新茶買ふ

まさか本当に「試飲してしまったがための呪縛」で買われたわけではありますまい。試飲した新茶も魅力的だったのでしょう。反語的にしたところに俳諧味を感じます。

かき氷くづすアングル見つからず

ふわふわの氷が器一杯に盛られ、どこにスプーンを入れればいいかわからない事があります。贅沢な悩みと言えます。

稲刈りや軽トラックはなべて白

言われてみればその通りです。各家々が稲刈りに出て、広い田園地帯に何台も軽トラックが見えての実景が目に浮かびます。

「俳句」7月号から

角川「俳句」7月号の特別企画「若手競詠&同時批評」。
どういうことかと思ったら、「45歳以下の俳人29名に作品10句を依頼」「ランダムに並べ直し4人の評者が選句」という句会形式の企画であった。(4人の選者は、渡辺誠一郎、藤本美和子、奥坂まや、鴇田智哉の各氏)
なかなか面白い企画と思ったが、タイトルをつけて10句の構成を考えて投句したとしたら、バラバラにしていいのかな? と少し心配でもある。

全290句は記名で掲載されているので、無記名の選に入った句の中から、私も句会形式で選句してみた。果してどなたの句か。


ジャケットに蟻這ひ登る母校かな 杉原祐之 渡辺特選、藤本並選

「母校」と題されて十句すべてが母校を題材とした句。その中の一句であるが、大人になった作者とグラウンドの土の景が見えてくる。

誰もゐぬ港に虹の立ちにけり 涼野海音 渡辺特選、藤本並選

虹は美しいものであるがいつどこに出るかわからない。無人の港にも。

うつすらと濡れて粽の笹の嵩 安里琉太 渡辺並選、鴇田並選

大袈裟な笹を剥いて食べるのがまた嬉しい粽。びっくりするくらいの嵩になり、確かに濡れています。

氷菓食ふいつも小さき声の人 音羽紅子 藤本並選

声の小さい人だって氷菓を食べるでしょうに! 余程大きなかき氷かパフェでも頬張っていたのでしょうか。

五月来る森の中なる神学部 涼野海音 奥坂並選
ジューサーのぐおんと回り夏に入る 森下秋露 奥坂並選

奥坂氏が選ばれている2句。「五月来る」と「神学部」、「ジューサー」と「夏に入る」の季語の斡旋が絶妙です。「鷹」の奥坂先生らしい選です。
森下秋露氏の句はすべてにカタカナが入っていました。意識的にそうされたのだと思います。敢えてカタカナにしている「地下足袋に来てスズメバチ駆除業者」も面白いと思いました。


私には「皆さんお上手だなぁ」としか思えませんでしたが、選者の方はなかなか厳しいことを言っておられる。
プロフィール

鈴木霞童

Author:鈴木霞童
平成25年「天穹」入会。30年同人。
定年後に専門俳人になることを目指して修行中。

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