専門俳人を目指しています。俳句評論執筆のための文章修練、及び俳句実作。厳しい批評をお待ちしております。

# 二十四節気俳句生活

# デービッド・アトキンソン「新・所得倍増論」



著者は日本の観光立国化へのオピニオンリーダー。観光地化について言っていることはいちいちもっともだと思うが、この人の言っていることばかりを鵜呑みにしても仕方がない。別の、複数の論者が登場することが望ましい。
そもそもこの方は観光業界の出身ではなく、出自は金融業界(アナリスト)である。
本書のような分野が本職のはずである。

要するに、日本は様々な規制や変化を受け入れづらい国民性が邪魔をして生産性が低いままであり、このままでは世界においていかれる、というのが本書の主題である。
「生産性」については昨今、色々な人が色々なこと言っているが、この人の言うことは比較的まともである。エピデンスを駆使した論説には納得感が強い。

しかし、日本人の持っている「自信」について、「世界第何位」というのは人口が世界11位であることを勘案すべきで、オリンピックのメダルは世界11位だが人口比で考えると50位、ノーベル賞受賞者は6位だが同じく人口比では39位(科学3賞・経済学賞では29位)というのは首肯するが、「輸出額は4位だが人口比では44位」というのは納得が行かない。
もちろん、国境がすべて海で、しかも東~南は広大な太平洋が広がっており、北は陸地はあるがシベリアであるという地政学的なハンデもあるが、そもそも日本は輸出に頼る経済ではなかった。むしろ、貿易黒字が拡大しすぎることを懸念して「内需拡大」を旗印にしてきたのであり、「貿易に頼らない経済」が日本の特徴だったはずだ。(だから携帯電話やファミリーカーがガラパゴス化したわけだ)著者はアナリストだからこれはわかっているはずだが・・・。
無論、人口減の今後においては輸出増を増やす必要があるということについては賛成である。近隣国が発展して大きな市場が生まれたことも追い風であろう。

また、GDPは3位だが一人あたりは27位、っていうのはそれくらいでしょう。
上位にいるのは産油国と、ルクセンブルクやシンガポールなどの都市国家。シンガポールと比べるなら、東京では大きすぎるから、「大阪市」とかで比べるべきであろう。ざっと計算すると、大阪の方がやや高いようだ。
それはそうと、ドイツには若干離されているが、イギリスやフランスとは同程度(日本がやや低い)であり、そんなものでしょう。

本書で深く首肯したのは、日本の農業生産性の低さについてである。やっと最近になって、法人化が認められ、農地の集約化に舵が来られたが、戦後70年近くに渡って「小作人の開放」を目的とした農地法に縛られ続けていたのは遅きに失した感がある。


★★★☆☆
処方箋として、「株主が声を上げて経営者にプレッシャーをかけて株価と生産性を上げる」ということが提示されているが、「それだけかい?」という印象。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

# プロフィール

鈴木霞童

Author:鈴木霞童
平成25年、俳句結社「天穹」入会。
定年後に専門俳人になることを目指して修行中。

# ブログランキング

ブログランキングに参加しています。 クリックで応援して下さい!

# 最新記事

# カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

# メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

# 初心者向け基本書籍

# 検索フォーム

# ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

# QRコード

QR