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矢作俊彦 「ららら科學の子」



三島賞受賞作。
1968年、学生運動で指名手配を受けた主人公は紅衛兵となるために中国に密航する。
文革の方向転換で下放されて農村に30年、今度は蛇頭を頼って帰国してきた。
1998年、中国も都市部ではかなり発展していたはずだが、辺境にいた主人公にとって日本は変わりすぎており、現在では裏社会の顔役となっていた旧友の助けを借りてかつての「自分」を取り戻してゆく。
中国時代の「回想」がところどころ散りばめられて、全編を読み通せば中国での30年も浮かび上がってくる。

★★★★★
純文学系の三島賞受賞作であるが、中身は矢作俊彦らしいハードボイルド作品。


この本のタイトルを見て、俳句を嗜む人は小川軽舟の句、

かつてラララ科学の子たり青写真

を連想する方も多いのではないかと思うが、読んでいるうちにこんな記述が見つかった。

「写真の長嶋は、白髪の老人だった。先刻、洋服屋の店先に映った自分の姿より、それは胸に痛かった。(126p)」

これは
日記果つ父老い長嶋茂雄老い

を連想させる。どちらも『呼鈴』(2012)所蔵。

本書が単行本化されたのは2003年であるから、もしかしたら小川軽舟は本書を読んで上記2句を創作したのかもしれない。
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プロフィール

鈴木霞童

Author:鈴木霞童
平成25年「天穹」入会。30年同人。
定年後に専門俳人になることを目指して修行中。

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