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第160回芥川賞



芥川賞の受賞作を、いつものように文藝春秋で読んだ。

今回は2作。上田岳弘「ニムロッド」町屋良平「1R1分34秒」

「ニムロッド」は仮想通貨を「掘る」仕事をしているIT会社社員の話。
今どきの題材を取り入れた現代的な作品。作者の自画像は主人公でもあり、登場する友人でもあるようだ。構成や主人公の名前に工夫を凝らしている。

「1R1分34秒」は、なかなかパンチの効いた作品。C級ライセンス(四回戦)のプロボクサーの細部を丁寧に描いている。特にボクシングの技術面の描写は経験者にしか知りえないリアルさが真に迫ってきた。芥川賞受賞作では「太陽の季節」も主人公がボクサーたが、全く違う。
個人的な好みで言えば圧倒的にこちらだが、構成に技巧を凝らしすぎた。この作品は、愚直にボクサーの描写だけで勝負出来たと思う。


受賞作2作品に共通しているのは、少ない登場人物と、その関係性を丁寧に描いているところである。特に親しい人とのコミュニケーションが大きなテーマとなっているところも同じである。このあたりが作品の現代性なのか?
現代的といえば、両作品とも、小道具としてiphoneが使われている。
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鈴木霞童

Author:鈴木霞童
平成25年「天穹」入会。30年同人。
定年後に専門俳人になることを目指して修行中。

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